管理栄養士が教える2型糖尿病向け食事療法

2型糖尿病の改善のためにはやはり食事療法が1番大切

糖尿病の方向け!管理栄養士が教える食事療法

生活習慣病の一つとして有名な2型糖尿病ですが、今では20歳~79歳の11人に1人が2型糖尿病にかかっているというデータがあり、非常にかかる可能性の高い病気であることがわかります。

そんな2型糖尿病の3大治療といえば、持続的な運動を行う「運動療法」、必要がある方に医師が処方したお薬を欠かさず飲む「薬物療法」、そして毎日の食事に気を付ける「食事療法」があげられます。

中でも食事療法は治療の軸として重要視されており、管理された食事療法を行えば、2型糖尿病の7割以上の人が食事療法だけでコントロール可能だと言われています。2型糖尿病にかかってしまった方や、健康診断などで血糖値の高さを指摘されたことがある方は、必ず気を付ける必要があるといえます。

今回は2型糖尿病の方に欠かせない食事のバランスやおすすめの食べ物、食べ方についてご紹介させていただきます。

 

2型糖尿病治療のための簡単な食事療法

「食事療法」といわれると、カロリー計算や糖質・塩分の計算など難しいイメージを持つ方も多いと思いますが、要点を抑えれば実はとても簡単です。今回は簡単に行える食事療法についてご紹介したいと思います。

食事療法に1番重要なポイントは「続けること」です。続けられる食事療法について学んでいきましょう。

1.2型糖尿病の治療食は家族で食べられる良バランス食

2型糖尿病の食事療法でまず最初に気を付けることは毎食の食事のバランスを整えることです。具体的に言えば、毎食、主食・主菜・副菜を必ず摂るようにします。

主食とはごはんやパンや麺や芋など炭水化物中心に構成されている食品のことです。主菜とは肉や魚卵や豆などたんぱく質中心に構成されている食品のことでいわゆるメインのおかずです。副菜とは野菜やきのこや海藻などのことでいわゆるサブのおかずのことでこれらを摂ることで食物繊維・ビタミン・ミネラルがしっかり補えます。

日々気を付ける点としては、忙しく時間のない朝は1品でこの、3つが補えるサンドイッチや夕食の使いまわしがおすすめです。昼食に外食が多い方は麺類やどんぶりものなどの単品料理ではどうしても副菜(野菜・きのこ・海藻)が不足してしまいますので、定食料理を選択したり、同じうどんでも鍋焼きうどんや野菜あんかけうどんなど野菜が多く入ったメニューを選択することが重要です。最近ではコンビニやスーパーでも手軽に1食分の野菜のおかずが手に入れられるようになりましたので、意識して野菜を取り入れるようにしましょう。

2.食べ方にも注意して

食事の時間

食べ方は以下のことに注意するとより、効果的な食事療法がおこなえます。

・1日の食事は3回にし、できれば毎日同じ時間に食事をとることで、血糖値をコントロールするホルモン(インスリン)の分泌リズムが整います。

・朝>昼>夕の量にすることが理想的です。食事後の活動が少ない夕食の食べすぎには気を付けましょう。高エネルギーな食事をとりたいときは、朝や昼に摂り、夕食は軽く済ませることが理想的です。

・毎食時間をかけてよく噛んで食べましょう。そうすることで、満腹中枢が刺激され食事の食べすぎを抑えることができます。

3.たくさん摂ってほしい食物繊維とビタミン、ミネラル

ビタミンやミネラル

主食や主菜の摂りすぎはエネルギーの摂りすぎにつながり、血糖コントロールが難しくなってしまいます。2型糖尿病の方にしっかり摂ってほしい栄養素は食物繊維とビタミン、ミネラルです。これらを摂ることで、代謝が促され血糖コントロールもよくなるとされています。

これらの栄養素が豊富に含まれており2型糖尿病の方におすすめの食材が「菊芋(キクイモ)」です。テレビなどで見たことがある方も多いと思いますが、この菊芋は芋という名前ではありますが、じゃがいもやさつまいものようにでんぷんが含まれているわけではありません。菊芋に多く含まれる成分は水溶性食物繊維(イヌリン)という成分です。

このイヌリンは天然のインスリン(血糖値を下げるホルモン)と呼ばれています。インスリンは水溶性食物繊維が体内に入ったときに多く分泌されます。ですので、菊芋のような水溶性食物繊維の多い食品をしっかりと摂ることでインスリンがしっかり分泌され、血糖値の上がりにくい体質にすることができるのです。

菊芋は生でも食べられますので、忙しい朝ごはんやお弁当にも入れられますので、2型糖尿病の方にとってとてもおすすめな食材と言えます。菊芋は収穫時期が決まっているので、継続して摂取するには菊芋サプリメントを検討するのもおすすめです。

4.控えてほしいのは油と塩分

油分

糖尿病の初期には症状はありませんが、怖いのは3大合併症です。目が見えにくくなる網膜症、腎機能が悪くなる腎症、手足の感覚が鈍くなる神経症が3大合併症として挙げられます。合併症を防ぐために重要なことは血糖値のコントロールと、減塩、減油です。油と塩分を控えるためには以下のことが重要です。

・揚げ物は控える
・ドレッシングはノンオイルにする
・汁物は1日1回にする
・漬物は控える
・おかずの食べすぎを控える

これらのことに気を付けることで、難しい計算はしなくても油と塩分を控えることができます。特に最近はやりの糖質制限ダイエットで、主食抜きの食事をとっている方もいるかと思いますが、主食抜きの食事では、おかずの量が増え油と塩分の過剰につながりますので、適量の主食は毎食摂るようにしましょう。

5.間食がほしいときにはこれ!

菊芋の写真

せっかく1日3回の食事に気を付けても、間食がやめられなければ食事療法の効果は半減してしまいます。しかし、無理に習慣だった間食をやめるとストレスがたまり「続けること」は困難になってしまいます。

どうしても間食が食べたい!そんな時にはヨーグルトや果物、ナッツなどを間食として取り入れてみてください。果物は糖分も多いですが食物繊維やビタミン・ミネラルも補えますので、2型糖尿病の方の間食としておすすめです。みかんならMサイズ2個バナナなら1本りんごなら1/2個程度が1日の適量です。また、水溶性食物繊維が豊富な菊芋を使ったスイーツも2型糖尿病の方にはおすすめです。菊芋を蒸して甘味料で味付けした大学芋風や、菊芋とりんごを甘味料で炊いたコンポートなどを間食として取り入れ、ストレスフリーな「続けられる食事療法」を行ってください。

とってもかんたんに続けられる食事療法

2型糖尿病の食事療法についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。意外と簡単ですぐにできそうだと思われた方が多いのではないでしょうか。

まずは1日3食バランスよく食べ、しっかりと食物繊維・ビタミン・ミネラルを摂ることを意識し、ストレスをためず食事療法を続けていってくださいね。