「どうやら○○さんも糖尿病らしい」「健康診断で血糖値が高いと言われた」など、糖尿病や血糖値の話はもはや普通の日常会話。それもそのはず、糖尿病など血糖値による健康のリスクが疑われる人は成人男性で18.1%、成人女性は10.5%。しかもそのほとんどが40歳以上というデータがあるほどです。(平成29年、厚生労働省)
日本人の90%は「Ⅱ型糖尿病」
とはいえ血糖=悪者というわけではありません。そもそも糖は血液によって体中の細胞に運ばれエネルギー源となる、体にとって重要なものです。その際、細胞の入り口の鍵を開けてくれるのが、膵臓で作られるインスリン。つまり糖をエネルギーとして使うにはインスリンが必要なのです。
ところがインスリンの働きが悪くなると糖が細胞に取り込めず、慢性的に血液中の糖が増えることになり「血糖値」が高くなります。また赤血球内にあるヘモグロビンAにも血液中の血糖が結合して離れなくなり、「ヘモグロビンA1c」の値も高くなります。そうした状態が糖尿病と言われる病気です。
糖尿病は大きく「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の二つに分かれます。主に体の免疫システムが関係し、インスリンがほとんど分泌されないのが「Ⅰ型糖尿病」。一方、糖尿病全体の90%を占める「Ⅱ型糖尿病」はインスリンの分泌や作用の不足が原因で、遺伝的な影響に加えて食生活や運動不足や肥満といった環境的な問題も強く関わることが多いと言われています。生活習慣病としての糖尿病は「Ⅱ型糖尿病」のことを言います。
血液中の糖濃度を改善してくれるイヌリン
糖尿病の状態を知るには、血糖値とヘモグロビンA1cの数値を把握することがとても重要です。血糖値は計測したときの数値なので、数日食事量が少なければ血糖値も低くなります。ヘモグロビンA1cは過去1~2か月の血糖値の平均が反映され、やや長い期間での血糖値の変化を見ることができるため、近年ではヘモグロビンA1cの数値も重要視されるようになってきました。
両方の数値が適正に維持されているかどうかは、飲み薬や食事療法、運動療法といった治療の指針になります。特に「Ⅱ型糖尿病」の場合は食事のコントロールがとても重要なので、口から入れるものには細かく注意が必要です。そこで注目されているのが天然のインスリンと呼ばれる「イヌリン」の存在です。
糖尿病はインスリンの分泌や作用が不足したため細胞に糖が取り込めなくなっている状態なのですから、簡単に言えば適量のインスリンを補充してあげればよいことになります。それが薬ではなく食物から摂れるイヌリンで補えるのは朗報以外の何者でもありません。
菊芋も、その一つです。イヌリンはゴボウ、タマネギ、ニンニク等にも含まれていますが、含有量は菊芋がダントツ。ただし11月~3月しか収穫ができず、通年の食用には向かないというデメリットがありましたが、最近はサプリメントも出ているので、かなり手軽に入手することができるようになりました。
できることから普段の生活を見直す
病気になったとしても、普段の生活をちょっと見直すだけで症状が緩和したり、劇的に改善したりすることは珍しくありません。食事の際に食べる順番を変えるだけで、血糖値の上昇は変わってくるほどです。病気になってしまったのだから、もう遅い……と諦めずに、できることから変えてみてください。体は思っている以上に柔軟に変化してくれます。